2004年02月25日
4桁の数字/短編
長久手読気市内出賞、候補作品
久しぶりの大阪出張。新大阪から地下鉄に乗り換える。切符を手に持つといつものように発見番号らしき4桁の数字に目をやる。そして無意識のうちにこの4つの数字を使って「10」にしようと試みていた。
今日の数字は?
「チェッ!」
思わず舌打ちしてしまった。切符の番号は1199。
残念ながら見た瞬間答えが解ってしまった。何故残念かというとこの数字は過去に解いたことがあり、二つ先の駅で降りるまでの時間の中で解けるかどうかという私のささやかな楽しみが満たされなかったからだ。
もちろん明晰とはいえない私の脳が過去に試みたすべての数字を覚えているわけではない。この数字には、一緒に解いたぶうさんとのちょっとした思い出があるのだ。その思い出はごくありふれた出来事でここで語るほどのことでもない。が、10数年前にぶうさんが他界してから私にとって印象に残る数字となった。
私が最初にこの遊びを教えてもらったのが大学時代。
当時一番中のよかった松尾から教わった。
「おい。Nezu!自分の切符の4つの数字を使って10になる式を作ってみろよ!」
「な、なんだよ。いきなり。」
私は私よりずいぶんと背の高い松尾の顔を見上げた。
「遊びだよ、遊び!」
やや猫背ぎみに松尾はそういうと、にやっと笑った。
「いいか、使っていいのは、+−×÷の四則とカッコだけ。分数はいいけどべき乗なんかはダメ」
なるほど、ひまつぶしにいいかと自分の切符に目を落とす。1114。うーん。全部足したら7か。考えていると横から松尾が、
「お前の簡単じゃん。4と1足して5、1と1を足して2、5×2は10じゃん。」
あっ そっかー。なるほどねー。でも1111とか0001とか出来ないものもあるじゃないか。
私の心を見透かしたように松尾は続けた。
「出来ないときはなぁ」
「出来ないときは、√使ったりべき乗、階乗、ログ、サイン、コサインなんでもありでやるんだよ。それでも出来ないときは1と1を11にしちゃってもいいぞー。」
なるほど。なるほど。それって意外と面白いかも。
それ以来、切符を買う都度松尾から教わったこの遊びをするようになった。
整然と並ぶ4桁の数字。今までどのくらいの数字が飛び込んできたのか。今日もまた私は、手にしている物から4桁の数字を探している... 完。
※ 1199はちょっと時間がかかって楽しめますよ。
1と9だから直感的にすぐ出来そうに思うけどなかなか出来ない。よかったら考えてみてください。
四則計算とカッコで出来ますよ。
「続きを読む」をクリックすると1199の答えがでます。
すぐに見ない人はB型人間かも? 続きを読む